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なちゅら.simコラム


2023.8.10

ちょっと悲しいお話:黒猫が教えてくれたこと

2023年1月、22歳の誕生日を迎えた黒猫が老衰で天国へ旅立ちました。今でも思い出すと、自然と涙が溢れてしまいます。

この黒猫は、蕨の保護猫施設から引き取った子でした。選んだ理由は、とても小柄で、他の猫をモタモタ追いかける姿がどこか健気に思えたから。そして、正直に言えば、あまり愛想がなく可愛くないと思ったのも理由の一つでした。「他の猫と違っていいかな」と、ちょっと変わった気持ちで迎えた子だったんです。

でも、暮らしてみると、その「愛嬌のなさ」が逆にたまらなく愛おしくなりました。母には「全然可愛くないわね」と何度も言われましたが、そのたびに「失礼だわ!」なんて言い返したりして。今思えば、その何気ない日常すらも懐かしく、愛おしい思い出です。

黒猫との最後の2年間は、とても大変で、でも特別な時間でした。背中にできた腫瘍から膿と血が止まらず、獣医さんにも「手術は高齢なのでリスクが高すぎる」と言われました。毎朝と毎晩、消毒をする日々。それは手間がかかりましたが、不思議と「手がかかることが愛情の形なんだ」と気づかせてくれる時間でもありました。

獣医さんの薬も刺激が強いから毎日使わないように言われたのこともあり、オーストラリアで出会った自然療法の「クレイ」を飼い主の自己責任で取り入れました。クレイは天然の鉱物で、体内のミネラルを補いながら毒素を吸着する効果があると知り、独自の責任で使い始めました。クレイシップを背中に貼ると、黒猫は目を細めて気持ちよさそうにしていました。その姿を見て、「少しでも楽になっているんだ」とホッとしたのを覚えています。

クレイを使うたび、膿や血がだいぶ減り、穏やかな時間を一緒に過ごすことができました。そのとき感じた「自然の力」の大きさとありがたさ。今でもクレイに触れると、黒猫への感謝と愛おしさが胸にこみ上げてきます。

黒猫が最後に見せてくれた姿は、何物にも代えがたい優しい記憶です。この子と過ごした時間、そして愛情が、今でも私の心や体の一部となって溶け込んでいるように感じます。

クレイは大地の恵みです。何千年もかけて海と大地の力によって生まれた天然の鉱物。薬のように即効性はないけれど、穏やかに体に働きかけてくれる、自然の力の象徴です。黒猫を通じて感じたこの自然の恵みの力を、これからも大切に、感謝の気持ちを込めて使っていきたいと思います。

すべてのことに感謝を込めて。ありがとう、黒猫。そしてありがとう、大地の恵み。